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エール

大好きだった「不潔新聞」が、どうやら管理人の名無し記者氏の健康上の理由から、廃刊なされたらしい。

光栄にも受け渡された「バトン」にも、まだお応えできていない。

実はおれは、本当にガキンチョの頃にひと頃兵庫県にいたこともあり、もしかしたら袖振り合っていたかもしれない人生などと思うと、かなりせつない。

もちろん、ご自分の大切なブログを閉じる決意はいかばかりであったか、たやすく想像するべくもない。

心からの敬意と、身の回りのさまざまな問題が整理できたあかつきの復帰を、願いつつ、

いつの日か、おれが自分のブログを閉じる日のために用意していた、吉本隆明の詩を、名無し記者氏に捧げたいと思う。

"
「ちひさな群れへの挨拶」   

あたたかい風とあたたかい家とはたいせつだ

冬は背中からぼくをここごえさせるから

冬の真むかうへでてゆくためにぼくはちいさな微温をたちきる

をわりのない鎖 そのなかのひとつの貌をわすれる

ぼくが街路へほうりだされたために

地球の脳髄は弛緩してしまう

ぼくのくるしみぬいたことを繁殖させないために

冬は女たちを遠ざける

ぼくは何処までゆかうとも

第四級の風てん病院をでられない

ちひさなやさしい群れよ

昨日まで悲しかった

昨日までうれしかったひとびとよ

冬はふたつの極からぼくたちを緊めあげる

そうしてまだ生まれないぼくたちの子供をけっして生まれないようにする

こわれやすい神経をもったぼくの仲間よ

フロストの皮膜のしたで睡れ

冬のあいだにぼくは立ち去ろう

ぼくたちの味方は敗れ

戦火が乾いた風にのってやってきそうだから

ちひさなやさしい群れよ

過酷な夢とやさしい夢が断ちきれるとき

ぼくは何をしたろう

ぼくの脳髄はおもたく ぼくの肩は疲れてゐるから

記憶という記憶はうっちゃらなくてはいけない

みんなのやさしさといっしょに


ぼくはでてゆく

冬の圧力の真むかうへ

ひとりっきりで耐えられないから

たくさんのひとと手をつなぐというのは嘘だから

ひとりっきりで抗争できないから

たくさんの人と手をつなぐというのは卑怯だから

ぼくはでてゆく

すべての時刻がむかうかはに荷担しても

ぼくたちがしはらったものを

ずっと以前のぶんまでとりかえすために

すでにいらなくなったものはそれを思いしらせるために

ちいさなやさしいむれよ

みんなは思い出のひとつひとつだ

ぼくはでてゆく

無数の敵のど真ん中へ

ぼくは疲れている

がぼくの憤りは無尽蔵だ
          
ぼくの孤独はほとんど極限に耐えられる

ぼくの肉体はほとんど過酷に耐えられる

ぼくがたふれたらひとつの直接性がたふれる

もたれあうことをきらった反抗がたふれる

ぼくがたふれたら同胞はぼくの屍体を

湿った忍従の穴へ埋めるにきまってゐる

ぼくがたふれたら収奪者は勢いをもりかえす

だから ちひさなやさしい群れよ

みんなのひとつひとつの貌よ

さようなら


「転位のための十編」から
昭和27年創作 吉本隆明 27歳
勁草書房 「吉本隆明全著作集1」 定本詩集 昭和43年12月20日初版発行 "
http://www5e.biglobe.ne.jp/~wood-man/dokusyochiisanamure.htm

名無し記者様、こんなブログでよければ、いつでも遊びにおいでください。お待ちしております。

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吉野弘詩集 (ハルキ文庫)

初めて詩集というものを買いました。短い文章の中で、端的に自分の感情や見たものを表現するのは難しいことです。文章力や表現力の勉強になりました。「そんなこともあるのだろう 他人には見えて自分には見えない幸福の中で 格別驚きもせず 幸福に生きていることが 『...

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comment

Secre

眼谷さんのエール、実に実に、ありがとうございます。吉本隆明の言葉、手術までに暗記しておきます。手術は、腹腔鏡下手術で全身麻酔で、あまり怖くなさそうです。良かった。意識があって、ギリギリ切られるのだけは嫌だったんです。では、また。本当にありがとう。

コメントを寄せてらっしゃる方々もくせ者揃いで(笑っ)遊び応えのあるブログでした。
いつも私のくっだらないコメントにも丁寧にお答えくださりこちらこそありがとうございました。

ひとつ、ずっと言いそびれていたことがあるのですが、TIMBUK2のメッセンジャーバッグ、実は私も10年以上前に買ったものを今も持ってます♪

どうやら本文のリンクも切れたみたいだ。
最後は少しバタバタしていたが、記者様、まずは手術を乗り切って元気になってから「不潔新聞pt.2」でも「不潔探偵事務所」でも開設なさる日を心待ちにしておりますぞ。

消えました。さすがに…です。
来週から手術で、お盆休みをうまく使ってお盆明けには「休みはどうでした?」「いやぁ、ずっと寝てました」とか答えて、何事もなく仕事に入っていくような気がします。
眼谷さんは、相変わらずお忙しそうだ。おからだ大切に。
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