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BLUEBLACK

万年筆で書く、という習慣を少しつけたいと思っているところです。
と言っても高価な万年筆を所持しているわけではなくて、国産の1000円ほどのが1本と、もう1本ペリカンのこちらも2000円程度のエントリークラスのもので、どちらにもそれぞれのメーカーのブルーブラックのカートリッジを入れています。

国産の方は「乾きにくさ」を売りにしているだけあって、ひと月くらい使わなくてもペン先が乾くことはないのですが、ペリカンの方は正直なもので下手すれば1週間くらいご無沙汰しただけで乾いてインクを通し直してやらなければなりません。だから、なるべく毎日に近い頻度で使ってやらなければならなくなるわけで、かといって大層な文章を編むわけでもなく、仕事のメモや私的な備忘録に、せっせと万年筆を使うクセをつけようとしているわけです。

ブルーブラックというインクもちょっと好きで、これも国産の方はわりと艶っぽい色なのだけどペリカンのブルーブラックは、墨っぽいというか、青みがかった墨みたいな色でこんなあたりも、書く行為のささやかな快感であったりします。下手な字でもそれなりに味わいのある見映えになってくれるし。

そういえば昔銀塩のモノクロプリントをやっていた頃のメインのペーパーは「月光」というブランドで、暖色系のモノクロペーパーが主流の中、唯一「ブルーブラック」の寒色の黒を売りにしているペーパーでした。まぁっこれは私淑していた森山大道のただのマネで、ひたすら月光の4号の硬調紙を、何年も使っていたのですが、ある時からイルフォードのマルチコントラストを使うようになってようやく自分のプリントが少しできたような気になれた、これもまた別の逸脱。

字が汚いのは、子供の頃からのコンプレックスで、もちろん今でも金釘流以下の下手くそな字を書き散らしているのですが、思えば携帯電話やパソコンといったツールでテキストを簡単に発信できるようになって、ハードルが下がったのをいいことに、どれほどいい加減な言葉を、それも全世界に晒す形で垂れ流してきてしまったことか、まあ今こうして入力しているテキストだって、それほど大したものではないのは一目瞭然ですが。まぁもちろん「きれいな字が書けなければ、文章を世界に問うてはならない。」などと言うつもりもありません。
あと、「美しい字」なんてググると出てくる変な精神論みたいなのに与するつもりも、もちろんないのですが、肝心なのは「言葉と丁寧につき合う」ということではないのかと、考えているわけです。

まぁこんなことを、この2ヶ月ばかり、安物の万年筆と、LEUCHTTURMというドイツ製のちょっといいノートと一緒に考えていたわけです。

tag : TO WRITE

再掲

「ちひさな群れへの挨拶」   

あたたかい風とあたたかい家とはたいせつだ

冬は背中からぼくをここごえさせるから

冬の真むかうへでてゆくためにぼくはちいさな微温をたちきる

をわりのない鎖 そのなかのひとつの貌をわすれる

ぼくが街路へほうりだされたために

地球の脳髄は弛緩してしまう

ぼくのくるしみぬいたことを繁殖させないために

冬は女たちを遠ざける

ぼくは何処までゆかうとも

第四級の風てん病院をでられない

ちひさなやさしい群れよ

昨日まで悲しかった

昨日までうれしかったひとびとよ

冬はふたつの極からぼくたちを緊めあげる

そうしてまだ生まれないぼくたちの子供をけっして生まれないようにする

こわれやすい神経をもったぼくの仲間よ

フロストの皮膜のしたで睡れ

冬のあいだにぼくは立ち去ろう

ぼくたちの味方は敗れ

戦火が乾いた風にのってやってきそうだから

ちひさなやさしい群れよ

過酷な夢とやさしい夢が断ちきれるとき

ぼくは何をしたろう

ぼくの脳髄はおもたく ぼくの肩は疲れてゐるから

記憶という記憶はうっちゃらなくてはいけない

みんなのやさしさといっしょに


ぼくはでてゆく

冬の圧力の真むかうへ

ひとりっきりで耐えられないから

たくさんのひとと手をつなぐというのは嘘だから

ひとりっきりで抗争できないから

たくさんの人と手をつなぐというのは卑怯だから

ぼくはでてゆく

すべての時刻がむかうかはに荷担しても

ぼくたちがしはらったものを

ずっと以前のぶんまでとりかえすために

すでにいらなくなったものはそれを思いしらせるために

ちいさなやさしいむれよ

みんなは思い出のひとつひとつだ

ぼくはでてゆく

無数の敵のど真ん中へ

ぼくは疲れている

がぼくの憤りは無尽蔵だ
          
ぼくの孤独はほとんど極限に耐えられる

ぼくの肉体はほとんど過酷に耐えられる

ぼくがたふれたらひとつの直接性がたふれる

もたれあうことをきらった反抗がたふれる

ぼくがたふれたら同胞はぼくの屍体を

湿った忍従の穴へ埋めるにきまってゐる

ぼくがたふれたら収奪者は勢いをもりかえす

だから ちひさなやさしい群れよ

みんなのひとつひとつの貌よ

さようなら


「転位のための十編」から
昭和27年創作 吉本隆明 27歳
勁草書房 「吉本隆明全著作集1」 定本詩集 昭和43年12月20日初版発行 "
http://www5e.biglobe.ne.jp/~wood-man/dokusyochiisanamure.htm
百眼読書録
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